★空と村立図書館。【vol.39】
私たちは毎年読谷村に宿泊しているのだけど、事前に「リニューアルした村立図書館がいいらしい」という情報を得たので楽しみに行ってみた。
那覇からだと58号線・伊良皆の信号を左折して直進、「読谷ファーマーズマーケット ゆんた市場」の対面。このあたりは地平線が見えそうなくらい建物がなく広々したエリアで、その広い広い敷地内に横に長い平屋建ての図書館がある。
長い長い建物。変な柄のデニムをはく夫。
OIST(恩納村にある沖縄科学技術大学院大学)のロゴもある。どうやら複合施設らしい。
入ると中は広々していて、入り口付近はやちむんなどの販売スペース。奥が図書館、右手にはスタバ(そして行列)。左手にはOISTエリア。
ウッディで小洒落た雰囲気やジャンル案内板に既視感があり、ピンときた。「ここってもしやCCC(TSUTAYAでおなじみ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)が絡んでいるのでは…?」
果たして正解であった。
蔦屋書店が生活圏内に複数ある身としては、大変お世話にはなっているけど本よりセレクトショップ感が先立っていて、さほど好みではない。なのでちょっぴり「えー」という感じではあったが、とにかく歩き回ってみる。
大きな窓。背の高い書棚。ゆとりある設計。棚に対して蔵書がギチギチには入っておらず、本と目が合いやすい。沖縄関連・読谷村関連の本も目立つところにたくさんある。テーブルにはコンセント有で、PCに向かっている人も多い。学生でぎっしりの学習室。キッズエリアには遊具もある。
半分はスタバのエリア。外にもテーブルが並ぶ。とにかく座る場所は多い。
図書館エリアはとても静か。スタバエリアは適度なざわめき。
「蔦屋図書館かよー」なんて斜に構えながら歩いたが、正直、すごく居心地がいい。なんかくやしい。(なんで)
本気の図書館好きから見たら、ここは厳密には図書館とは言えないかもしれない。でもここに暮らす人々(特に若い世代)が本を読んだり勉強したりお茶したりする文化施設として、とても良いのではないだろうか。コーヒーを飲みに来た人も、子供を遊ばせに来た人も、気軽に本を手に取れる。本屋ではないのでその場ですぐ読んだり借りたりができる。
図書館は22時まであいており、6/23の「沖縄慰霊の日」以外は年中無休のようだ。そして何と村民以外も本は借りられる。24時間返却できるし、東京に持ち帰ったとしても、宅配返却ができるのもすごい。
私が行ったのは平日15時すぎ。真隣が読谷中学校なので、とにかく中学生がたくさんいた。
だけど全然うるさくないのだ。なぜならあらゆるテーブルにいる中学生はみんな勉強をしていたから。OISTエリア(OISTの紹介や研究が展示されているフリースペース)では男子グループが何かの研究発表に向けて話し合いをしている。スタバのテーブルにいる女子グループもノートと参考書を広げている。
「くっちゃべってるだけの子が一人もおらん…みんな勉強してるんだけど何ごと??」と私が言うと、夫は「図書館にはきっとそういう子だけが来るんだよ」。そうなのかなあ?
もっと居たいと思った私は、翌日夫が「1時間だけオンラインmtgしなくちゃ。まあ車中で音声参加でもいいか…」というのを、「いや、図書館に行こう!」と引っ張っていった。
夫が外のテーブルでmtgをしている間、私は中でノートに書きものをしたり、沖縄の漫画家・新里堅進氏の本を読みふけったりした。
新里さんのこの作品は知らなかった。大変に読みでがあり、前篇だけしか読破できず。
私はこういう場所での物音には過敏なたちだが、低い本棚をはさんだ向こうのスタバエリアやゆきかうキッズたちのざわめきが気にならないのが意外だった(休日だとまた違うのかもしれない)。
居心地よすぎて夫に「終わったよー」と言われてもまだ居座っていた。
一人旅なら、私はここにずっといるだろう。そして沖縄関連の本を読みあさったり、PCに向かったりするだろう。
ネットで口コミを見ていると「うるさくて落ち着かない」「蔵書が少ない」「前の図書館らしい図書館の方がよかった」などの声も見受けられる。やはり暮らす身と通りすがりの観光の身とは違うところも多いのだと思う。
でも、窓が多くてどこにいても外の景色が見え(南側からは広い広い芝生と空、北側からは赤瓦の読谷村村役場)、閉塞感がなく、図書館としての敷居が低い。役場の目の前なので老若男女が集いやすく、イベントも開きやすい(目の前の広場では古書市始め、色んな催しが開催されているようだ)。いいとこはいっぱいある。
私はとても気に入ったので、訪沖の際はぜひ行ってみてください。座喜味城跡もやちむんの里も近いです。
景色も見事なのでね。
去年見つけた掛川の図書館も長居したい素敵な場所だったし、各地の図書館をめぐる旅というのもいいかもしれないなーと思いました。
ではまたね!
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