★くくるな略すな、簡単に。【vol.7】

私の尊敬する作家の山田詠美さんはかつてエッセイの中で「外来語(横文字)をすぐ略すな」と言った。略すのはダサい、とも言ってたような気がする。そのことを久しぶりに思い出したよ。
近藤あゆみ 2024.02.02
誰でも

折に触れポロッと出そうになってたけど、あまりに一般化したのでSNSでは言いづらいのでここで言いますね。

私は、ちまたに溢れる「○活」という言葉が好きじゃない。いや正直に言うとけっこう嫌いです。

個人的許容ラインは「就活」「朝活」まで。朝活は「就活のような言い方で『活動』をくくる言葉の走り」だったと記憶してる。だから先駆者たちに敬意を表して(?)そこまではOK。「婚活」も先駆者ではあるがあんまり好きじゃない。

誤解しないで欲しいのは、使ってる人のことが嫌とかじゃあ全くないってこと。個人が使うのは自由だし。
ただメディアや企業の「発信側」が何でもかんでもそれでまとめて名付ける風潮が嫌いなだけだ。あまりにイージーすぎるし、どんだけ使い倒すんだよと思ってしまう。

様々な業種や趣味分野にいる女性のことを、本人じゃなく外野が勝手に「○○女子」とまとめるのも嫌いだ。ここにはうっすらとした「異物だと思ってる感」と「見下してる感じ」が漂うから。

…という流れで、「○○ハラ」という略語もそろそろやめたらいいんじゃないかと思う。使われすぎてる。
ハラスメント自体も訴えてる人も確かにそこにあるわけで、それ自体をなきものにすべきではない。個人で使うのも別にいい。
でもメディア(発信者側)は「ハラ」でイージーにまとめるな!と思う。セクハラやパワハラなど、真に深刻なもんまで軽くなる恐れがあるじゃないか。

「文字だけのやりとりで句点(。)をつけると怒って聞こえる」ことを「若者がマルハラと呼んで嫌っている」というニュースに至っては噴飯ものであるよ。

略語も呼称も、流行れば流行るほど中身は置き去りになり、単純化しミーム化し、何にでも安易にぺたぺた貼られるようになる。
何度も言うけど、個人が日常で便利に自由に使う分にはいいと思うのだ。

でも流行り言葉、ネットミーム、略称は扱いがとっても難しくて、あっという間に化け物みたくなったり凶器になったり、腐敗したりする。
ネーミングして世の中に発信する仕事の人は、たやすく乗っからない方がいい。やるなら自らゼロから生み出す方を頑張りたい。

言葉はね、できるだけ易しくあったらいいと思うけど、イージーであったらいいとは思わないのです。

私はすぐに「マッドマックス怒りのデスロード」を出してきがちです

私はすぐに「マッドマックス怒りのデスロード」を出してきがちです


ちなみに友人Uちゃんは個人的なやりとりの中で

・長生きハラスメント(推しに「ぜったいに私より長生きしてください!」と直訴すること)

・打ち上げハラスメント(Liveの後にとびきり美味いものを食うから来なよ!と友にガンガン提案すること)

という言葉を編み出して、こういうのは面白くて好きだなーと思った。
相手に投げかける自らの行動に「ゴリ押ししてごめん」という反省と自虐を込めつつ、その中身自体は決して相手を嫌な気にさせない、プラスのものだから。

ではまた来週!

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